この近所一帯で、メンバー制のEメールグループをやっている。
始めてから、もう10年以上になると思う。その間にメンバーも増えて、今では330人のメルアドが登録されている。同じ世帯から各個人のアドレスが登録されている場合も多々あるので、だいたい200世帯くらいだと思うんだけど、それにしてもグループ宛に送ると330人に送られるのだから、交通量はかなりのもの。
「オススメの配管工事業者がいたら教えて?」っていうのから、
「クリスマスに作るランチ用の芽キャベツが足りないので、もし余っている人がいたら下さいな」
「ローカルの蜂蜜あります。お店にストックする前に、ご近所さんのご注文を最初にお受けします」
など、いろいろなメールが舞い込んでくる。蜂蜜のメールは私が出したもので、11月から12月にかけて沢山の人が買いに来てくれた。ロックダウン中でも、サクッと短い時間で、庭でお渡しする分には構わない。
それで顔見知りになれた人も結構いて、ロックダウン中は特に、人とおしゃべり目的で面会する時間なんて持てないから、初めましての人もお久しぶりの人も、軽くおしゃべりしながら蜂蜜をお渡しするのが社交的で楽しかった。
フィリップ・K・ディックの小説25冊。
「誰か興味ある?」との短い一言と一緒に、下のように小説を平置きしたメールが届いた。
ロックダウン中に、これらを積み上げておくのもいいじゃないの(いや読めよ)!と思い、速攻で「もしまだ誰もいなかったら、私がフィリップ・K・ディックを全部引き取りたいです」と。
実はそのメールにはもう一枚の写真があって、そちらはディック以外、15冊くらいあったでしょうか。アイザック・アシモフとか。
でもこれだけで十分、お腹いっぱいになりそうだったので、ディック作品だけをありがたく頂いてきました。
私がこれまでに読んだのは、日本にいた頃の和訳本からこちらで読んだ数冊を入れて、この6冊。
「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」
「流れよ我が涙、と警察官は言った」
「タイタンのゲームプレイヤー」
「スキャナー・ダークリー」
「高い城の男」
それから「ユービック」。ディック作品でどれが一番好きですか、と聞かれたら迷わずコレ。
でもこうやって見ると、このうち21冊は未読なので、ロックダウン中に読破できるかな、できないだろうなー。特にSFは筋立てや登場人物が非現実的なせいで、のろまリーダーの私は、読み砕くのに時間がかかります。
現に、「The Man Who Japed」(邦題:いたずらの問題)を読み始めたのだけど冒頭の数十ページを何回も読み直して、それでもまだ頭に入らないからネットで日本語のあらすじを探して、手がかりをやっと掴めた感じ。
この写真は、家に持ち帰って新たにウィキペディアを参考にしながら、左から右、上から下へと執筆順に並べたもの。せっかくだから順番に読んでいくといいかなあと思ったり。
カバーイラストも濃くて、それだけでも見応えありますね。SFのカバーって、独特ですもんね‥。
下は、ディック作品ですでに持っている重複本を除き、頂いた25冊になくて、すでに持っていた3冊を加えたもの。上段の右上、国旗と蛇口とトランプのスペードがカバーイラストのものです。
ここには短編集も混じっているので厳密ではないけれど、長編でここにないのは、あと10冊くらいでしょうか。
「何らかの強力な外部の存在によって(例えば『ユービック』)、あるいは巨大な政治的陰謀によって、あるいは単に信頼できない語り手の変化によって、日常の世界が実際には構築された幻影だということに主人公らが徐々に気づき、超現実的なファンタジーへと変貌していくことが多い。こうした『現実が崩壊していく強烈な感覚』は『ディック感覚』と呼ばれている。「彼の作品は全て、単一の客観的現実は存在しないという基本的前提から出発している」(日本語版ウィキペディアより)
そうそう、まさにその感覚。好きだなぁと思います。
Comments